● 時事寸感(11)女性の品格 阿久悠 世論調査

◇ 女性の品格の受け止められ方
 坂東眞理子氏のこの大ベストセラー作品について、知りたいことがある。
 この作品の先を行く同じく大ベストセラーの「国家の品格」、「大人の見識」は、それぞれ警世の書として、世の注目を浴びたものだが、この「女性〜」については、あまりマスコミ等で話題になったという記憶がない(私の不勉強かもしれないが)。


 そこで(失礼ながら)書店で本の目次を瞥見してみたところ、あまりに常識的な項目ばかりが並んでいて吃驚させられて(呆気にとられて)しまった。
 この本には女性のみならず男性読者も多いという評判だが、こんなに常識的なことがベストセラーになるくらいに読まれるというのは、どういうことであろうか。
 当たり前のことが説かれるということが逆にインパクトを与えるということか。
 私も読んでみなくてはなるまい。


◇ 痛恨! 阿久悠氏去る
 私の愛読書の一つは山本夏彦氏の諸作だった。世の中を切りまくって痛快無比という趣きであった。
 その山本氏逝って、その衣鉢を継いだのが阿久悠氏。氏の連載エッセイが産経新聞で読めるのが楽しみであった。(産経を購読する大きな理由の一つだった)。
 氏のエッセイが纏められ、刊行されたのが「清らかな厭世」(新潮社)。
 阿久悠氏は作詞家として高名だが、「歌は世につれ」と言われるように、世の動きに敏感でなければ作詞は出来ない。
 言葉の達人だけに、マスコミ、ジャーナリズムについての論考には鋭いものがある。
 少し引用してみよう。

          • 人間は面白いだけでも、軽妙なだけでもなく、寡黙で近寄り難くても、心に響く言葉を持ち、独特の美意識を備えた人もいるのである。その人は本当に嬉しくないと笑わないし、サルのように手を打たないが、寄ると暖かいし、語ると深いのである。



 氏は、世の中の妙なことを評して言うには、世の中のミョーは、小さい異変を見逃してきたことが積み重なって怪物化したものである、と。
 こんな大事なことを指摘した人は、これまでについぞ存在しなかった。
 その小さい異変の一例は:
● 勤勉、真面目を、野暮、ダサイと笑いものにした時。


 話は違うが、大きな航空機事故の前には、小さな異変/事故が、積み重なるものだという。


◇ 新聞各社の世論調査のミョー
 中立、公明正大を標榜する新聞社が実施する世論調査の対象を選ぶには、やはり公明正大を旨とするに違いない。
 しかるに、例えば、時の政権支持率の調査結果は、どういうわけか新聞社によって違っていることがある。
 どうして同じにならないのか。不思議なことだ。


 私は新聞社が支持する政党の機関誌として活動することは一向に差し支えないことだと思う。但し、その前に「中立、公明正大」の看板を降ろすことが必要だが。


<権兵衛の一言>
 テレビの視聴者として、阿久悠氏のような人が10人でもいて論陣を張ってくれたら、テレビの品格はぐっと向上したに違いない。