時事寸感(6)ケータイ小説 ほか
◇ ケータイに書き込み、それが出版された小説がベストセラーになっているという。著者及び読者層は10代から20代前半の、それも女性に多いそうだ。
従来の小説読者層とは明らかに違うとされるから、これが今後の小説世界を支配する勢力になるとは思われないが、出版不況の折から、やはり注目すべき社会現象の一つであろう。
私は古い年代だから、格別に興味を惹かれることもないが、注目しなくてはならないのは「横書き」が最大の特徴の一つとされている点である。
私は「縦書き」でなければ日本語の機微は伝えられないし、また、頭の活性化も行われないのではないかと思っている。
川端康成の「雪国」を「横書き」で読まされて、果たして心に沁みる感興が得られるものだろうか。
◇ 早大では、新入生たちの(日本語)論理的能力を養うために、日本語文章講座を設けるという。
とうとうここまで来たのか。
大学というところは、既に論理的能力が備わったものを入学させ、専門教育を施すところではないのだろうか。
日本語再教育をするのは悪くはないか、それなら、卒業試験を厳しくして、無能力者を社会に送り出さないようにしないと、社会/企業が迷惑する。(私も随分迷惑をかけてきた)。
能力が落ちている原因とされているは、
● 読書量が減っている。
● メールで、短い文章しか書いていない(書けない)せいである。
◇ 新聞の用紙代値上げ
インターネットの進出で相当の打撃を受けている新聞/雑誌業界の、次ぎの脅威は用紙代値上げである。
大手新聞の去就が注目されている。伝えられるところによると、生き残るのは朝日、読売、日経で、これに次ぐものが毎日、産経であるという。
しかし、ここで言われているのは、販売部数での競争
であって「質」の面が忘れられている。
私の無責任な観測では、産経には生き残って貰わなくては言論の質のバランスが取れない。つまり、やや中立的な読売、経済に特化の日経を残し、それに朝日、産経の両極が対置するという構図になる。
販売数だけでの論議は、言論機関である新聞の特質から言っても可笑しい、というものではないだろうか。
何かで読んだのだが、同じ文筆活動でありながら、新聞/雑誌業界人が、もっとも「I T 活動」面で弱いと囁かれているのいは面白いことだと思われる------本当は深刻な問題であるのだが。
◇ テノール歌手/秋川雅史のCD「千の風に乗って」が、100万台のベストセラーであるという。
これを巡って、マスコミでは、やっかみ半分?の評価
が横行しているという。
その一つは、秋川の声は「テノール」ではない、バリトンだ、というものだ。 専門家がどう評価してもいいのだが、庶民にとってばドウデモイイことである。庶民
は、聞いて感動出来るかどうかだけが問題なのである。
その点では、歌唱力自体もたいしたことはない、という声も聞かれる。しかし、これも聞いた庶民が判断すればいいことである。
別な問題として、音楽ホールに関連してのことだが、歌手がマイクを使わないのがオペラであり、使うのはオペレッタであるという定義があると聞く。
しかし、これは従来規模の音楽ホールのことであって、5000人規模の巨大ホールで隠しマイクを使って自然な歌声を客席に届かせる場合には当て嵌まらないことである。
オペラであるという定義に従って、大ホールで無理をした歌手の潰れた声を聞かされるのは如何なものか。
◇ 新テロ特措法
いよいよ審議入りしそうなこの法案の入り口で、いろいろな問題が浮上、与野党の駆け引きが激しい。
見ていると、国際貢献とは何か、という最も基本的な問題をよそに、別次元のことばかりに拘っているようにも思える。
ここへきて見えてきた野党のシナリオは、
--------断固反対〜衆院での再可決〜問責決議、予算関連法案否決〜解散総選挙〜民主党政権実現
ということになろうか。
このシナリオ死守のためには、どんな議論にも耳を藉さず、ひたすら反対姿勢を貫くということになる(ように見える)。
これは、ある人の意見を借りれば、一種の「強行採決」ということになるのでは。
与野党が激しく雌雄を決する姿勢は悪くないが、国民の立場はどうなるのか。
民意は、給油活動に賛成意見が増えつつあるというのに。
私が一番分かり難い反対理由と思うのは、
「給油活動がどれほど有益であるのか分からない」というものだ。
なるほど、分からないと言えば分からないのだろう。
それなら「ISAF参加」にはどういうメリットがあるのか。明確に応えられる指標があるのだろうか。
すべては「国際貢献とは何か」という議論から出発
しなければ、答えの出ない問題ではなかろうか。
<権兵衛の一言>
新テロ特措法への野党の対案が出てこないが、(言われているように)諸刃の刃ともいうべき「ISAF参加」の扱いを決めかねているからではないのか。
そこいらの解説が欲しいものである。