脱帽 黒澤明監督作品

 このところ、テレビ10チャンネルを見ていると、リメイク版の「天国と地獄」、「生きる」が目につく。
 前者については、解説版で疾走中の列車から現金3億円を投下する緊迫した場面が紹介されるが、投下現場にあった建物を、監督の意向によって取り壊してしまうエピソードの紹介が秀逸だった。
 注目の「生きる」についても撮影余話が紹介されたが、余命を覚悟した主人公(松本幸四郎)が、一生最後の冒険に、と大金を託して「案内」を依頼する相手が、意外に白服スーツに赤マフラーという定型的な遊び人を設定したのには、やや失望を覚えた。
 原作では、飄々とした風貌の作家役/伊藤雄之介の印象が強烈だっただけに、どうしても原作のほうに点を擧げたくなってしまう。
 「生きる」の焦点は後半の葬儀場面にある。ここは
主人公の本意が初めて部下たちの前に明らかにされ、全員が明日からの再出発を誓い合う最も重要な場面なのである。
 しかし、予告編では、この部分は全く触れられていない。監督の意向がどこにあるのか、全く掴めないのが残念である。


 黒澤作品には昔から傾倒しているが、手持ちのビデオ「七人の侍」は、ことあるごとに(特に、落ち込んだ時に)見直して飽きることがない。
 とりわけ、私が好きな場面は、子供を誘拐して立てこもった犯人を、咄嗟に坊主に扮して救出に当たる名優志村喬である。その機転と戦略。それが後日の七人の侍
が、村を襲う野武士たちを殲滅するスペクタクルに繋がることになる。

 黒澤作品には昔から傾倒しているが、手持ちのビデオ「七人の侍」は、ことあるごとに(特に、落ち込んだ時に)見直して飽きることがない。
 とりわけ、私が好きな場面は、子供を誘拐して立てこもった犯人を、咄嗟に坊主に扮して救出に当たる名優志村喬である。その機転と戦略。それが後日の七人の侍
が、村を襲う野武士たちを殲滅するスペクタクルに繋がることになる。