当節の困りもの----と、想像力

 手足の不自由な方(年寄りを含む)などにとって、「一寸、何とかならんか」というものを列挙してみる。(単なる不満やクレームとも違う)。(順不同)。

◇ 柔らかくて固い食パン/何やら矛盾しているが、ちぎって食べようとすると、柔らかいくせに、ヤケに抵抗して「チギラレまい!」と頑張るパンのこと。パンや菓子類を包んだビニール袋も同罪。
 販売元の社長さんは、発売前に是非お試しあれ。
◇ 扱いにくいワィシャツ等の袖口ボタン/身に覚えのない人は果報者。
 片手が塞がっている時はどうしたらよいのか。
◇ 手足のところがギュッと締まった下着類/ 多分、防寒用にそうなっているのだろうが、脱ぐ時に手足にシガみついて離れようとしない。
 主人に忠勤ななのは嬉しいが、余計な労働を強いられるのが辛い。
 私は申し訳ないが、チャイナドレスのように、袖口等にハサミで切り口をつけることにしている。
 足首が締った靴下は、血行に悪いので、締まる部分をハサミでちょん切ることにしている。
◇ 男物ポロシャツ に、胸ポケットがない/オシャレのつもりかもしれないが、カード類、メモ帳、名刺、筆記具など、企業戦士にとって不可欠のものが収納出来ないシャツ類は無価値だ。小さいバッグを持てばよい、と言われるかもしれないが、雨天時はどうするか。
 人はカッコ良さだけでは生きられない。

 他の例をあげると;
◇ パソコン等の説明文字が小さくて読めない。それから、操作ボタン類をわざわざ同系色で、しかも小さくしている、そのほうがデザインとしてカッコよいのかもしれないが、当方としては購入した側の非(?)を悔やむばかりだ。
◇ 自警のため、町会が「火の用心」と言いながら拍子木を打って巡回すると「煩いから止めてくれ」と言う人。
 昔、ある町に転入したその夜に盗みにあった人がいた。その人は町長に苦情を言ったそうだが。
 深夜テレビを見て、寝不足になると文句を言う人もいる。
◇ 電話をかけてきて名乗らぬ人(当節は危ない世の中なのです)。
◇ 小池氏(環境大臣)の話(06.7.4 サンケイ)。。
 昔、テレビカメラの前で「ハーリド国王が-----」と訃報を伝えようとすると、竹村健一氏に「君はアラブのことに詳しいが、まずサウジアラビアという王制の国があって、そこの国王が、と言わなくれは視聴者は分らないよ」とたしなめられた由。
◇ 同じサンケイは、当節は自治体が高齢者施設を敬遠するようになっている、と伝えている。
 その自治体の人は、絶対に年を取らないのだろうか。

 以上の諸例から推測されるものは何か。予算難、労働力不足などと言うのは容易だが、最も欠落しているのは、人の苦労を思いやる「想像力不足」ではなかろうか。
 自治体の福祉対策部所に年輩者を配置しない限り、高齢者施設は敬遠され続けるだろう。
 パソコン設計陣に、高齢者を加えない限り、活字の小さい、分り難いマニュアルはなくならないだろう。

 産経に、作家・角田光代氏の言葉を見付けた(06.8.7 「脳ある人 心ある人--透かし見える言葉」)。
 ---- 今は目に見えることのほうが力を持った時代だと思う。書かれなかった言葉より書かれた言葉のほうを、人はより強く信じる。
 でもひょっとしたら、おもてに見えないことがらのほうが、よほど強い表明であるようにも思える。

 これに関連して連想させられたのは岐阜県庁の裏金作り事件である。紙幣を焼却したのは酷いことだが、事件の一側面でしかない。

 人は「裏金作り」の罪をのみ非難する。しかし、何故「裏金」を必要とするのか、そこまで遡って追求しないと、裏金作りはなくならないだろう。
 例え、接待や職員の食事/車代にせよ、本当に必要かどうかを究明し、そして(おもてには見えないかもしれないが)必要なものには、きちんと予算を付けてやらないと、官民を問わず「裏金作り」は再発するのではないか。

<権兵衛の一言>
 町会自警団の拍子木が聞こえてくると、僕はワンワンとエールを送ることにしている。僕は防犯に協力しているつもりなのだが、これを「喧しい」とする意見もある。難しいね。