篤姫の人物像

 NHK大河ドラマ篤姫」が好視聴率だというが、その原因は何だろうか。
 たまたまテレビを見ていたら、天皇家から徳川家に降嫁した和宮は替え玉で、しかも、篤姫はそれを知っていた、とある。
 知りながら公武合体のために事態を静観?した篤姫は、相当の人物ということになる。


 ことに真偽は分からぬが、その器量と聡明さで幕末を生き抜いた篤姫という人物には興味を惹かれる。
 なにしろ、薩摩藩から将軍家定の正室に送り込まれた篤姫は、父から次期将軍に水戸の慶喜を、という密命を受け、かつは、黒船来航、大老井伊直弼の暗殺、大奥3千人の統括、和宮降嫁、江戸城明け渡し、大政奉還、など、普通の女性なら数世代かかっても経験しきれないほどの激動の生涯を送った。
 この篤姫の「聡明さ」とはどういうものであったのか、たまたま目についた小説「天璋院 篤姫」(上下)を求めてみた。


 しかし、ある人物を描くには、描けるだけの器量を持った作者を必要とする。
 作者は宮尾登美子。頼れる方だ。


<権兵衛の一言>
 氏は、薩摩、天皇家、大奥など、とかく外部情報が乏しいと思われるなかで、どう判断し、行動したのか、という問題意識を持ちながら筆を進めたらしい。作家としては当然のことかもしれないが、なかなか出来ぬことだ。

新装版 天璋院篤姫(上) (講談社文庫)

新装版 天璋院篤姫(上) (講談社文庫)