個室か 集会室か----- ブログの運命

「ミクシイ」というネットザービスが500万人の加入者を誇り、株式市場でも業績拡大を囃して、上々の評判だという。
 ネットサービスなら、インターネットを背景とした、例えば、ココログ、エキサイトなどのブログサービスが相応の顧客を集めている。
 この顧客が不特定多数というところに魅力があるのだとすると、「ミクシイ」というのは、特定多数の会員たちが、あまり情報非公開とかプライバシー優先とかを顧慮せずに、相互交流/対話を楽しめるところがミソのようである。
 私はブログ経験数ヶ月という新米だから、あまり分かったようなことは言えないが、迷惑コメントのようなものにあまり煩わされる心配がなさそうなのも、集客力の一つと見ていいのかもしれない。


 思い当たることがある。
 私はもう十数年来の(旧)パソコン通信の利用者で、加入していたニフテイネットではフォーラム/会議室のお世話になって久しい。
 やがて、インターネット仕様のパソコンが利用出来ない私は、ニフテイから閉め出されることとなるのだが、そのニフテイもインターネットの煽りで会員数が急減し、その理由の一つは会員の多くが個人の立場で楽しめるブログ急成長のせいだ、と言われたものだ。


 「ミクシイ」は、ニフテイ・フォーラムの再来/復活ではないのだろうか。
 これは、要するに、人は時には個室に入りたがり、一方で集会室で人と群れたがる、ということではないか、と私には感じられる。
 これを私は仮に「遠心力」「求心力」の作用、と形容してみるのだが、どうであろうか。


 今でも思いだすのだが、ニフテイは結構楽しかった。
 現在のインターネット世界で賑わっているのかどうか分からないが、ネットの世界では「オフ」と称する生身の人間の交流の場があり、ニフテイの音楽の例でいうと、これが結構繁盛していた。 
 プロに劣らずアマチュアも自前で音楽/演奏活動を楽しめるということを実証出来た好例だと、私は思っている。
 例えば、プロの世界でなら無謀/暴挙とされるようなイベントが平然と企画され、それなりの人を集めた。(それなりの内容があったかどうかは、言わぬが華、聞くだけ野暮)。
 例えば;
 夏オフと称して、夏期のある時期に、数百人の素人演奏家が集まり、交響曲、協奏曲、室内楽、ソロ、オペラなど何でもござれ、恥も外聞もなく弾き倒してしまう。それも即席の一発勝負である。
 その最たるものは、ベートーヴェン交響曲の連続演奏、つまり、一日で九つの交響曲すべてをクリアしてしまうのだ。


 ブログのような遠心力が働くインターネット世界で、このようなイベントが可能か。ミクシイが求心力を盛り立てるパワーとはなってくれるのか。
 昔のニフテイ・フォーラムにもバトルや迷惑コメントは結構存在した。求心力はこれらをも再び引き寄せるのであろうか。
 仮にそうだとしても、やはり、人は一人ではいられずに群れたがるし、一方で孤独な存在でもあり続けたい。


<権兵衛の一言>
差し当たりは、ブログが個室/集会室両様の機能を備えた交流の場として育っていくかどうかを、関心を持って見守ることとしようか。

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