ベローチェ/コーヒー・チェーン店のありよう

 ベローチェとは、全国展開するコーヒー・チェーン店のこと。
 私の第二の書斎は、時たま通う書店の二階にある喫茶店ベローチェである。 
 ここでコーヒーを頂きながら、求めた本を鑑賞したり、小文、手紙などを書いたりするのが、私の無上の楽しみの一つとなっている。
 ベローチェは、通に言わせると、チエーン店が同一規格という性格があるせいか、業界誌等にユニークな存在として紹介されることは少ないのだという。
 しかし、私が世話になっているベローチェ横浜市の私鉄駅近く)は、一寸趣きが違うようだ。まず、店全体が上から俯瞰するとピアノ型になっている。これは書店とのレイアウトの都合でそうなってしまったのではなく、最初から意図的にそのように設計されている感じがある。更に面白いのは店内のレイアウトで、店の半分から奥の部分は、客が全員高椅子(足が地に付かない)で、一人一人が壁/窓に向き合って沈思黙考する形となっている。喫茶店のカテゴリーからすると、これは「一人籠り型」というのだそうだが、客は静かに何かを考えたり、学習したり、メモったりしている様子である。しかし、高椅子のせいか、ここを好むのは若い人が多いようだ。(酒場の高椅子には、中高年男性が多いようだが)。
 他方、中高年層はどうなっているかというと、店の半分からこっち側に安住の地を求めることになるが、ここでの椅子は低目で、かつ、店の中央を向いて座る格好となっている。
 このようなレイアウトを発想したのはどういう人物であるのか、興味を惹かれることではある。テーブルは、数人で 楽しく歓談するタイプのもの---- 低目---- とは明らかに異なっているかに見える。

 
 ------- こうしたことを非生産的に漫然と考えさせてくれるところがベローチェなのである。
 ここでベローチェの名誉のために力説しておくが、当店が提供するコーヒー、ケーキ、サンドイッチ類の品質、そして、若い店長さんを含め、店員が揃って容姿端麗な若い女性店員(男性もいる)のサービスは、チェーン店らしく 高いレベルを維持している(研修所があるのだ)。価格は合理的な範囲内で、しかもドリンク類は(チエーン店の強みなのか)いつもコクがあっておいしい。
 余裕があれば、他の地域のベローチェを探訪してみたいものだが、期待を裏切らないだけの同一品質のサービスが受けられるものと思っている。


<権兵衛の一言>
 ひところ、食品チエーン店の店長が管理職か、単なる名ばかり職かで問題とされたことがあったが、若い身空で、お城ともいえる喫茶店の一つを任される店長という存在は、職業としては立派ないもののように見える。(私にはとても勤まらない)。

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