2007-01-01から1年間の記事一覧

ハンプトンの一石-----音楽界への波紋?(再録)

ハンプトンは、イギリスの音楽大学出身のチェリスト。「チェリストの物語」(春秋社)という著書がある。 この本は、語り口は穏やかだが、並のものではない。 晩年は子弟教育に専念したそうだが、その音楽教育に関する意見/主張には聞くべきものがあり、ま…

市民オペラ/カルメン----偉大なる素人芸(再録)

ビゼーの世紀の傑作「カルメン」が素人芸、というのではない。それに取り組む市民オペラが素人芸でも、必死で取り組まざるをえないほどの傑作が「カルメン」である、というのがその心だ。 アマチュアオーケストラの一員(チェロ)として市民オペラ「カルメン…

象の背中を誰が見る?

07.6.22 産経新聞で、「象の背中」という文字が一際大きく目を引いた。産経に連載された小説「象の背中」が出版され、それが映画化されるというPR記事だ。作者 秋元康(48)へのインタビュー記事もある。(作者の年齢をしるしたのは、こうした内容のものには…

デヴィ夫人の思い------望郷の歌(再録)

インドネシア独立の英雄、スカルノ大統領夫人として誰もが知る有名人。 数年前の新聞で知ったのだが、あまり報じられていない夫人の一側面は、クラシック音楽とのかかわりである。 「イブラ音楽財団」の会長として、コンクールやコンサート活動などを通じて…

秦帝国の道はローマに通ず?

私も人並みに歴史にいささかの興味はあるが、それは歴史物語といった程度のレベル。真面目に歴史書を読むわけではないので、例えば、信長、豊臣、家康、幕末、明治初期等については、おおよそ司馬遼太郎の小説から得たものばかりだ。 中国については「三国志…

手紙文化振興会(再録)

最近になっての私の最大最高の収穫の一つは、知人から便箋15枚、しかも万年筆手書きの手紙を頂戴したことである。 ケータイでの電報のようなメール交換が当り前となった当節、パソコンでのメールも何やら衰退機運にあるようで、まして、万年筆手書きの手紙な…

システム エンジニアの質(再録)

私は全くの技術音痴だから、このような主題で意見を述べる資格はない。資格が僅かでもあるとすれば、パソコンやブログの初期設定で悩まされた経験がある、というその一点においてである。(悲しいことだ)。 パソコンについては、いろいろと疑問を持ち、販売…

スキマ医療の未来?(再録)

知人から、がん医療には「スキマ医療」という分野がある、ということを教えられた。 先に御紹介した岸本葉子氏の言葉; ◇ がんは告知や終末といった「点」だけに注目されがちだが、実際には生活上のひと続きの「線」であり、 -----これにに対応するかの如く…

福岡、元寇、テポドン(再録)

アメリカの雑誌が報じるところによると、世界の魅力的な10都市のなかかに福岡があるという。(東京、大阪は番外)。今後のオリンピック主催候補都市選定の面でも微妙に影響しそうな報道である。 福岡が選ばれた理由は、I T産業等の進出(コストが割安)、観…

乾いた?文体の魅力-----「敦煌」(再録)

先般、大活字文庫本「「天平の甍」(井上靖)」を手に入れた話を書いたが、同じ大活字文庫本「「敦煌」を求めることが出来た。残るは「風濤」である。 もう何回も読んでいる心の愛読書だが、奥付の刷数を見て驚いた。なんと85刷。 それにもまして、(もう何…

大活字本の功徳(再録)

<お断り> 何かの手違いで、以前のブログ記事のいくつかが消失しているらしいことが分かりました。題名末尾に(再録)として再度アップさせて頂くことといたします。 - たまたま立ち寄った書店で「天平の甍」(井上靖)の文庫本を求めた。この本は既に持っ…

点と線

” がんは、告知や終末といった「点」だけに注目されがちだが、実際には生活上の連続した「線」であり、告知の瞬間から、突然生き死にだけの問題に向き合う時間が始まるわけではなく、日常生活の延長なのである。 多くの人には、突然生き死にだけの問題に向き…

「患者中心の意味」とは?

読売新聞に「がんと私」と題する医療啓蒙記事があったので興味を引かれた(副題/考えたい「患者中心」の意味。本田麻由美 記者、07.5.4 )。 私の知人にも闘病中の人がいる。この記事の内容を基に、御本人とその御家族の話を御紹介してみよう。 ◇ 本田記者…

大人の英語学習/寸感(4)

目にあまる英語バカ作者: 勢古浩爾出版社/メーカー: 三五館発売日: 2007/03/16メディア: 単行本(ソフトカバー)購入: 1人 クリック: 25回この商品を含むブログ (16件) を見る 英語学習に関する新聞論評と新刊書を紹介してみる。 ● 「児童英語は長期的視野で…

音楽閑話(9)天使の歌声

天使には男性も女性もいる。男性の歌声、例えば、男性合唱は、独自の迫力と男性にしか出せない柔らかく奥行きのある声で人を魅了する。 私の好きな曲は、多田武彦 作曲、八木重吉 作詞/組曲「雨」の終曲「雨」。 僅か6行の詩に美しい歌が付いたものだが、…

ローマのマニュアル

妙な題名だが、以下、本文からその意を汲み取って頂ければ幸甚。 このほど完結した塩野七生畢生の大作「ローマ人の物語」は、堂々全15巻という陣容。あまり大部なので恐れをなして、先日、その内の1巻「ハンニバル戦記」のその文庫版(全3册)の、その「…

追悼!大平総理(続)

「権力の病室」を読みながら思ったのだが、これは単なる闘病記ではない。 「権力の〜」とあるが、大平総理の場合の権力は一寸普通とは違うような気がする。 「権力」とくれば、例えば「金権」と受けてもおかしいくない雰囲気があるが、権力もその活かし方に…

追悼!大平総理

購入を予約して待ち兼ねていた「権力の病室」(国正武重、文藝春秋)が、やっと発売となったので、これから読むところだ。この本は大平総理が志半ばで心臓病で倒れ、逝去するまでの2週間を記録したドキュメント長編である。 政治家の伝記は多いが、病室を巡…

音楽閑話(8)伊丹十三氏 とヴァイオリン

今から約40年前、海外がまだ遥に遠い彼方に霞んで見えた頃に発刊された初エッセイ集「ヨーロッパ退屈日記」に衝撃を受けた人は少なくない筈だ。 (*)以下の文章中の引用は、上記「ヨーロッパ退屈日記」、それから「女たちよ!」、「伊丹十三の本」による。…

田辺聖子氏に脱帽

私が尊敬する女流作家は、曽野綾子、林真理子、それに田辺聖子の諸氏。実にいろいろなものを教わった。どこがいいのか、と聞かれても困るが、男にはない切り口の細やかさ、鋭さがあるような感じがする。鋭さの点では富岡多恵子氏も抜群で「英会話私情」とい…

大人の英語学習/寸感(3)

英語/英会話を学ぶ理由の一つとしてよく言われるのは、それが「国際人」になれるパスポートになる、というものである。 しかし、考えてみると(考えなくても)その国際人というのがよく分からない。日本人が英語(意思疎通の道具)を駆使して国際的に活躍す…

小説に見る日本と朝鮮半島/中国

朝鮮半島/中国は常に日本の運命を左右してきた存在であった。海洋国家という地勢的条件に恵まれての運命ではあったが。 北朝鮮の核は周辺諸国に対する重大な脅威となっているが、その昔、隋帝国は半島北部の高句麗侵略を意図し、これが成就されると、南接す…

大人の英語学習/寸感(2)

(前回の復習のようなもの) ◇ 我々の生活環境では殆ど英語を必要としていない。(そういうなかで、どうやって学習意欲が維持出来るというのか。むしろ、英語が出来ないのが当然)。 ◇ 英語学習にはまず国語(日本語)力が必要とされるが、外国人教師はこの…

大人の英語学習/寸感(1)

安倍内閣についてはいろいろに語られているが、人を驚かせたのは伊吹大臣の「小学校英語必修無用論」だろう。何しろ、これまで文科省、中教審、教育現場、業界等がその気になって進めてきた計画に、思いがけず「待った」がかかったからである。安倍内閣の基…

音楽閑話(7)/二つの校歌

思えばもう半世紀も前のこととなってしまった。いまは卒業した学校のオーケストラOB(アマチュア)の身である。そのOB会から一通の案内状が届 いた。「アンサンブルで古希を楽しむ会」とある。会の名称に、古希を迎え老骨に鞭打って古希仲間と音楽演奏を楽し…